精密洗浄
精密洗浄は、産業の製造プロセスにおいて要求される、製品に付着した汚れや残留物を高精度で取り除く洗浄工程です。精密洗浄工程では、肉眼では認識できない水準の微粒子まで完全に除去する(微細パーティクル除去)、あるいはイオンや油分などの残留物を製品の品質上問題のない水準まで取り除きます。機械力による物理的な洗浄作用および化学・物理化学的な洗浄作用を最適に組み合わせることによって洗浄効果を得ます。付着物の汚れや成分、また付着の程度を分析し、目的の洗浄品質を満たす洗浄プロセス(機械力による物理作用)と洗浄剤(化学・物理化学作用)を決定します。
アプリケーション例
水溶性フラックス、薄膜フィルム基板、プリント基板、フレキ基板、実装基板、電子部品、リードフレーム、精密部品、イメージセンサー、半導体パッケージ、パワーモジュール、セラミックパッケージ、光学レンズ、光学部品、液晶ガラス、フォトマスク、プラスチックレンズ、接合レンズ、プリズム、眼鏡レンズ、樹脂成型品、電子機器部品、自動車部品、カメラ部品、金属精密加工部品、精密ベアリングボール、切削加工部品、メッキ部品、ダイカスト部品、精密プレス加工部品、軽合金ダイカスト部品、コピードラム
洗浄プロセスの選定
洗浄プロセスの選定は、機械力による物理作用と洗浄剤による化学・物理化学作用の検討を同時に進める必要があります。被洗浄物の種類や材質、形状、また要求される洗浄精度に応じて、幅広い選択肢から最適な洗浄プロセスを決定します。
汚れの分析と洗浄剤の選定
洗浄剤を選定は、汚れの特性を分析することから始まります。汚れの種類は、水溶性あるいは油性の汚れであるか、またパーティクル等の固体が混ざっているか、汚れの付着性は強いかなどを分析し、候補となる洗浄剤を選びます。加えて、汚れの性質だけではなく、被洗浄物の強度や材質等の特性も考慮する必要があります。要求される洗浄性や乾燥性を満たすことは不可欠ですが、同時に使用する洗浄剤の費用も考慮する必要があります。消費効率や蒸留再生の可否などを検討し、洗浄装置の価格および稼働にかかるオペレーション費用を考慮して決定する必要があります。洗浄装置メーカーには、特定の洗浄剤に特化する、あるいは自社製の洗浄剤のみを扱うメーカーもあります。当社は、国内外の洗浄剤メーカーとのパートナーシップにより、性能と費用面において最も優れた洗浄剤を合理的に判断して提案しています。洗浄剤の種別や特性については、洗浄剤による化学・物理化学作用を参照して下さい。
洗浄方式の選定
洗浄方式は、洗浄剤の選定と合わせて検討します。洗浄性能と被洗浄物に与える物理作用の力はトレードオフの関係にあります。被洗浄物の物性に対して、物理作用の力がどの程度まで許容できるかを慎重に検討することが必要です。洗浄方式には使用する洗浄剤との相性もあります。例えば、止まり穴の奥まで洗浄ができているか、あるいは泡の過剰発生は無いかなど、洗浄方式と洗浄剤がそれぞれ持つ特性を踏まえて検討します。洗浄方式の種別や特性については、物理作用による洗浄方式を参照して下さい。
洗浄テストによる検証
当社は、洗浄テストセンターにおいて実際のワークを使用した洗浄試験を行い、実地の評価をもとに洗浄方式と洗浄剤を決定します。洗浄剤は、洗浄性能や費用に加えて消費効率や付帯設備の必要性も考慮した上で、総合的に検討します。実地試験では、洗浄剤と洗浄方式の相性も合わせて評価します。検証結果をもとに、要求される洗浄性を満たした上で、洗浄剤の消費効率やユーティリティ消費量を含む総オペレーション費用を可能な限り低減したプロセス設計を行います。洗浄テストについては、洗浄テスト・分析サービスを参照して下さい。
プロセス設計フロー
当社の標準的なプロセス設計フローです。顧客と綿密に意思疎通を図り、目的に合致した洗浄プロセス設計を行います。
プロセスの構成
洗浄プロセスは、一般に以下の要素で構成されています。
洗浄工程
液体を用いた洗浄、リンス、仕上げ等の洗浄工程です。超音波洗浄やバレル洗浄、蒸気洗浄、シャワー洗浄などから最適な洗浄方式を決定します。工程の流れは、連続式、バッチ式、枚葉式があります。
乾燥工程
洗浄後の乾燥工程です。熱風乾燥や真空乾燥等の乾燥方式があります。乾燥工程の前段には、必要に応じて脱水や置換工程を加えることもあります。
付帯設備
プロセスの全体仕様にもとづき、純水製造装置やイオン交換水等の水処理関連設備や蒸留再生装置等の溶剤回収・再生設備、濃縮設備、濾過設備、殺菌設備等の付帯設備をプロセス内に組み込みます。
搬送システム
ネットコンベヤやバスケット搬送、フープ搬送等から、実際の工程に適した搬送方式を決定します。当社は、独自のアルゴリズムを使用し、タクトタイムを短縮することが可能な制御を採用することが可能です。
配管系統
プロセスの全体構成にもとづいて必要な液配管およびプロセスガス配管を組み込みます。配管系統は、供給、排出、回収、循環等があります。各系統にはバルブやフィルタ、ポンプ等が含まれます。
プロセス制御
プロセス全体の制御として、各種センサーによる液温や濃度、水位等の監視および液・ガス流量や圧力制御等を組み込みます。ワーク搬送における制御やロット管理、自動化シーケンス、データロギング等も含まれます。
ユーティリティ
電源、ドライエア、蒸気等のユーティリティ構成です。
当社は、工業用の精密洗浄プロセスにおいて、高い洗浄性と環境保全を両立させた洗浄システムを提供しています。洗浄方式は、超音波洗浄、スプレー洗浄、シャワー洗浄、液中噴流洗浄、バレル洗浄、脱気洗浄、真空洗浄およびそれらの複合型まで総合的に取り扱っています。洗浄剤の消費効率や電力消費などのオペレーション費用を可能な限り低減したプロセス設計を行います。付帯装置は、水切り、脱水、真空乾燥、ベーパー乾燥、濃縮、濾過、蒸留再生、純水製造・再生などを用途に応じて組み入れます。搬送方式は、ネットコンベヤ搬送やバスケット搬送、フープ搬送などが選定可能です。システムは、手動制御から完全自動化まで対応しています。予算に応じて必要最低限の自動化(半自動化)を行うことも可能です。レシピやロット管理、前後プロセス間および中央制御とのコミュニケーションも対応します。
当社の洗浄テストセンターは、実際のワークを用いた洗浄テストおよび分析・測定サービスを提供しています。国内外の洗浄剤メーカーとのパートナーシップにより、目的に応じた洗浄剤を比較・検証することが可能です。