1. home
  2. 技術
  3. 血小板製剤の保存技術

血小板製剤の保存技術

当社は、日本赤十字社の血液センターおよび国内の大規模病院向けに、血小板保存振とう機(管理医療機器:血液用冷蔵庫)を製造、販売しています。輸血用の血液製剤である血小板製剤は、成分採血によって血液の止血機能を持つ血小板を採取して濃縮した製剤です。血小板の減少あるいは機能低下がある場合に、血小板を補充して止血を図る、あるいは出血を予防する目的で使用されます。

血小板製剤は、赤血球に比べて保存時の劣化が早く、管理が非常に難しい製剤です。現在、国内では22+/−2℃の範囲において、連続的に振とうを行いながら保管しています。冷蔵などの低温環境で保管した場合は、輸血後の血小板生体内寿命が低下する、また血小板の形態変化を引き起こし、輸血効果が低下するといった問題があります。振とうについては、振幅50mm、常用60rpmで水平振とうを行います。静止状態で保持した場合には、pHの低下に伴い血小板凝集能が低下してしまいます。そのため、血小板製剤を血小板保存振とう機から取り出した後は、できるだけ速やかに使用する必要があります。安全で一貫した品質の血小板製剤を全国に安定的に供給するには、常に一定の温度範囲で均一に振とう保存することが可能な設備が必須になります。また、血小板製剤は、静止状態では血小板凝集能の低下に伴う品質劣化が急速に進行するため、血小板保存振とう機には、故障が発生せずに稼働が可能な堅牢性が求められます。

当社の血小板保存振とう機は、医薬品および食品業界で長年積み重ねた振とう技術により、他社の追随を許さない堅牢性と安定性を誇ります。4点の油槽内シャフト上に架台をスライドさせる独自の駆動方式により、低騒音かつ高い耐久性を長期間にわたって維持することが可能です。また、予期せぬ停電や、入力電源異常が発生した場合においても、無停電電源装置を標準で内蔵しているため、停電時に停電警報発令および一定時間の温度記録が行われます。

当社の製品は、長年における製品の安定性およびキャリブレーション、バリデーションを含む定期メンテナンスサービスに対する評価から、日本赤十字社の全国のブロック血液センターや地域の血液センター、また全国の大規模病院に多数の納入実績があります。日本中で稼働する振とう機を適切に保守することにより、これからも日本の血小板製剤の安定供給に貢献していきます。

関連情報