粉体の物性評価

粉体は、固体粒子の集合体で、粒子間には相互作用力が働いています。集合体としての粉体は、液体のように流動したり、気体中に分散することで、形状や体積を変化させることができます。個々の粒子としては個体でありながらも、通常の固体、液体、気体とは異なった挙動を示すことがあるため、粉体の物理特性を理解するには、適切な測定手法を用いた分析および評価を行うことが重要です。

粉体の物性は、構成粒子としての一次物性および粒子の集合体としての二次物性があります。一次物性は、粒子径、形状、表面構造、内部構造、比表面積、細孔分布、密度、強度、水分量等があります。二次物性は、粒度分布、流動性、分散性、凝集性、噴流性、圧縮性、通気性、透過性、せん断性、摩擦性等があります。当社は、これらの粉体物性を定量的に評価するため、さまざまな測定手法を用いて多面的に分析を行っています。

一次物性

一次物性では、粒子が持つ物理特性を評価します。粒子の形状や構造、表面構造は、走査電子顕微鏡により観察します。また、画像解析粒子形状解析によって撮像した個々の粒子形状を、円相当径や面積、周囲長、球相当体積、アスペクト比など、様々なパラメーターを用いて評価します。画像解析粒子形状解析では、光線透過度を測定することにより、輝度分析を行うことも可能です。比表面積および細孔分布は、ガス吸着法による定容法を用いて測定します。密度については、気体置換法によって真密度と粒子密度を測定します。単一粒子の強度は、粒子圧壊力測定によって、粒子を物理的に圧壊して測定します。粉体の持つ水分量は、電量滴定法によって測定します。

二次物性

二次物性は、粒子が集合体として持つ特性を評価します。画像解析粒子形状解析によって、粒子形状および粒度分布を様々なパラメーターを用いて評価します。リアルタイムレーザー回折式粒度分布測定では、動的な環境下において粒度解析を行うことが可能です。また、レーザー回折式粒度分布測定により、粒子を循環させて連続的に測定することによって、時間経過に伴う崩壊性を評価することもあります。レオロジーの分析は、粉体特性評価およびパウダーレオメーターを用いた流動性評価を行います。流動性評価の伝統的な手法である安息角やかさ密度に加えて、動的環境下における流動性試験を行います。レオロジーにおける動的評価は、流動している粒子同士の摩擦による崩壊性なども確認できるため、粉体の充填性やハンドリング性の評価を行うことが可能です。

当社のスプレードライヤー、スプレークーラー、フリーズグラニュレーターは、液体材料から粉体を製造するプロセスです。液体材料の物性は、プロセス後の粉体物性に影響を与えるため、当社は以下の液体物性評価も行っています。

液体物性

液体の物性は、次工程である粉体製造に影響を及ぼすパラメーターの評価を行います。スラリーあるいは懸濁液の場合は、湿式レーザー回折法による粒度分布の測定を行います。液体材料を循環させて粒度を測定することによって、時間経過に伴う凝集性の変化や崩壊性、再分散性の評価を行うことも可能です。レオメーターを用いたレオロジー評価も行います。粘弾性やせん断応力および凝集・分散安定性、チキソトロピーおよびダイラタンシー特性、降伏点等の動的な流動挙動を評価します。

当社は、スプレードライヤー、スプレークーラー、フリーズグラニュレーターによる粉体製造プロセスを提供しています。また、粉体加工テスト・受託加工および各種分析・測定業務も承っています。国内二拠点のパウダーテクニカルセンター（神奈川県川崎市）およびASEANパウダーテクニカルセンター（タイ）の計三拠点において、顧客の持つ技術的課題を解決するために日々運営しています。2023年に新設した第二パウダーテクニカルセンター（PTC2）では、国内最大規模の分析・測定装置を取り揃えています（粉体テスト・分析・測定サービス詳細／粉体委託加工サービス詳細）。当サービスをご紹介する特設サイトプリス粉ラボを新たにリリースしました。サービスや施設の詳細および技術資料もご案内していますので、ぜひアクセスしてください。

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