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大容量高速振とう技術

当社の大型バイオシェーカーは、積み重ねた振とう技術によって、他社の追随を許さない堅牢性と安定性を誇ります。バイオシェーカーは、1日24時間、また数週間にわたって連続して稼働を続けることが多いため、装置には故障が発生しない堅牢性が求められます。世界中で稼働している当社のバイオシェーカーは、長くは60年以上稼働し続けている装置もあります。当社は、世界中で稼働する長寿のバイオシェーカーについても、継続して現在まで保守サービスを行っています。

大容量・高速回転振とう技術は、古くは当社のバイオテクノロジー部門の前身企業である、1914年創業の髙﨑科学器械株式会社まで遡ります。1946年に、連合国最高司令官総司令部(GHQ)の要請により、産官学で高品質ペニシリンの工業生産に向けた取り組みが開始された際に、髙﨑科学器械がペニシリンの培養装置の開発に着手し、初号機としてブランコ式培養機を完成させました。それ以降、大型振とう機の品質と堅牢性に対する髙﨑科学器械の圧倒的な信頼と評価は、現在においても顧客のもとで稼働を続ける数多くの長寿シェーカーが証明しています。当社は、2010年に髙﨑科学器械のバイオ機器事業を吸収して以降、長年積み重ねた振とう技術をベースに当社の技術も付加することによって、継続した技術改良を行ってきました。当社の大容量高速振とう技術は、振幅が70mm、最大回転数400rpmまで対応可能であり、国際的にも高い評価を得ています。

当社の顧客である日本の医薬品メーカーは、バイオ医薬品の培養工程において、長年にわたって当社の大型バイオシェーカーを使用しています。バイオシェーカーの標準的な振幅は10〜50mm程度であるのに対して、当社は70mmまで対応が可能です。顧客の工程では、振幅70mm、回転数250 rpmの培養条件が他の条件よりも生産効率が高いため、振幅70mm対応の当社製品を採用しています。技術の観点では、振幅が大きく回転数が高いほど遠心力が高まるため、装置の製造においては高い精度が求められます。また、ベンチトップ用途の小型シェーカーと異なり、一度に数百本のフラスコを積載するため、荷重が大きいほど回転部における高いバランス精度が必要となります。当社のバイオシェーカーは、高い技術が求められる大容量・高速回転の製品においても、故障せずに安定して使用することが可能な堅牢性があり、顧客から高い評価を受けています。定期の保守サービスに加えて、機器校正およびバリデーションも支援することによって、長年にわたって顧客の培養工程を支えています。

顧客であるアメリカの製薬企業は、自社の薬物送達システム(DDS)技術と承認済みの原薬(APIs)を組み合わせた医薬品開発を行っており、リポソームにおける豊富な技術ポートフォリオを保有しています。2019年に、顧客のサプライヤーからの紹介で当社の技術を知り、問い合わせをいただきました。製品の調製工程で必要なバイアル数を高速回転で稼働可能なバイオシェーカーを世界中で探したが、技術的に対応できるメーカーが見つからないとのことでした。顧客が必要とする技術水準は非常に高く、1バッチあたり5,000本(総重量200 kg)のバイアルを、400 rpm の高速回転で連続24時間/10日間のサイクルで稼働する計画でした。社内で技術検討を行った結果、要求事項を満たすことが可能であると判断し、プロジェクトは正式にスタートしました。基本設計から安全リスクアセスメント、環境適合性の検証、規制対応を経て、設計および製作工程に進みました。2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大し、プロジェクトの進行管理は困難な状況に追い込まれました。部材の納期が遅延するなどの問題が発生しましたが、無事に製品は完成し、試運転を完了しました。しかし、パンデミック下における各国の渡航制限が始まったため、現地での受け入れ検査が実施できない状況になりました。協議の結果、オンラインを活用してリモートによるFAT、IQ、OQ、SATを行い、無事に検収にいたりました。顧客は、計画通りに商業稼働に移行し、大容量・高速回転条件においても安定した生産を続けています。

当社は、好気性微生物の培養を目的としたバイオシェーカー(振とう培養機)や、血小板保存振とう機、産業廃棄物の溶出、土壌試料の抽出など、多様な用途に応じた振とうプロセスを提供しています。振とう方式は、往復式、回転式および往復・回転兼用(マルチウェイ)式があります。恒温室内の精密温調制御や光源照射など、幅広いオプションも揃えています。フラスコやチューブ、バイアルの形状に合わせて、最適なエアレーションおよび培養条件を創出します。

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