食品や医薬品の製造プロセスにおける洗浄工程は、製品の品質および安全性を保証する上で極めて重要です。当社の製品においては、スプレードライヤー、スプレークーラー、フリーズグラニュレーターの粉体製造プロセス、また培養タンクや発酵槽等の洗浄工程において、高度な衛生レベルが求められます。
CIP
CIP(Clean-In-Place:定置洗浄)は、生産設備の大規模な分解を行わずに、パイプラインや容器(チャンバーやタンク等)、付帯機器、センサー等の、プロセス内で原材料と接触する箇所を自動で洗浄する工程です。3次元ノズルやプッシュアウトノズル、シャワーボール等の洗浄機器をプロセス全体に配置し、適切に設計された洗浄プログラムに従って、プロセス内部を洗浄します。CIPを導入することにより、設備の分解・組立作業が不要となり、洗浄時間の短縮と省力化が可能になります。また、外部からの汚染を防止し、衛生水準の向上と安定化を図ることができます。
COP
COP(Clean-Out-of-Place:分解洗浄)は、生産設備を分解して洗浄する工程です。小規模で単純な構造の装置や、CIPでは完全に洗浄できない複雑な形状が含まれるプロセスなどで採用されます。作業者によって手動で洗浄を行うため、CIPと比較した場合に、洗浄品質にばらつきが生じる、また外部からのコンタミネーションが発生するリスクがあります。
CIP システムは、CAPEXの観点では設備の導入費用が高くなりますが、OPEXおよび品質管理の観点ではCOPと比べて多くの利点があります。いずれにおいても、生産プロセスはサニタリー性を有する必要があります。何らかの理由でプロセスの構造にサニタリー性が担保できない場合は、自動または手動洗浄に関わらず、衛生面を維持することは困難になります。
当社の製品では、研究用の小型装置はCOPを考慮し、分解が容易でサニタリー性に優れた設計を行っています。研究用の小規模プロセスは、予算上の制約によって自動洗浄システムが採用されない場合があります。一方、小ロットで多品種・多条件の試験を継続して行う研究機関などは、省力化の観点も考慮して自動洗浄システムを採用するケースもあります。中規模のパイロット設備や量産プラントについては、洗浄システムの導入費用やオペレーションコスト、また要求される品質水準を考慮して、適切な洗浄システムを採用する必要があります。定置洗浄(CIP)システムを導入する場合は、生産プロセスにあらかじめ洗浄設備を組み込んだ形で設計を行います。生産プロセスの仕様と原料特性を考慮し、最適な洗浄システムおよび運転プログラムを決定します。一般的なCIPシステムは、水、酸、アルカリの貯蔵タンク、バッファータンク、送液ポンプ、配管ライン、洗浄ノズルおよび各種センサー類が含まれます。洗浄工程は、一般に温水による粗洗浄から、アルカリ洗浄、酸洗浄、温水すすぎ洗浄、仕上げリンス洗浄、乾燥工程と進行します。洗浄剤や洗浄時間など、運用費用の浪費を防ぐためには、適切に設計された洗浄システムが必要です。CIPを効果的に行うためには、原料汚れの特性に応じた化学的・物理化学的な洗浄方案の策定や、生産設備の構造に適した洗浄機器の選定といった総合的なエンジニアリングが要求されます。原料固有の特性や生産プロセスの構造によっては、部分的にCOPを採用し、全体の自動洗浄と区分けすることによって、全自動のCIPシステムよりも、衛生面および安定性に優れた洗浄工程を構築することが可能な場合もあります(セミCIPシステム)。
当社は、積み重ねた技術をもとに、スプレードライヤー、スプレークーラー、フリーズグラニュレーターに最適な洗浄プロセスを提供しています。衛生面や環境適合性に加えて、設備投資とオペレーション費用を考慮し、最適な洗浄システムを設計します。循環洗浄を可能な限り行うことによって、資源の再利用を最大化し、ユーティリティや洗浄剤を無駄に消費しない、効率の良い洗浄システムを構築します。粉体加工テスト・受託加工および各種分析・測定業務も承っています。国内二拠点のパウダーテクニカルセンター(神奈川県川崎市)およびASEANパウダーテクニカルセンター(タイ)の計三拠点において、顧客の持つ技術的課題を解決するために日々運営しています。2023年に新設した第二パウダーテクニカルセンター(PTC2)では、国内最大規模の分析・測定装置を取り揃えています(粉体テスト・分析・測定サービス詳細/粉体委託加工サービス詳細)。当サービスをご紹介する特設サイトプリス粉ラボを新たにリリースしました。サービスや施設の詳細および技術資料もご案内していますので、ぜひアクセスしてください。