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ACS高効率サイクロン

ポルトガルのアドバンスド・サイクロン・システムズ(ACS)社は、PACyc(サイクロンにおける粒子凝集)モデルを設計最適化シミュレーションに組み込んだ、高効率サイクロンの専業メーカーです。2023年に、当社と日本における独占販売契約を締結しました。スプレードライヤーやスプレークーラー、フリーズグラニュレーターといった当社の製品だけではなく、粉体回収および排出ガス制御の分野において、高効率サイクロンを提供しています。

適応分野

粉体製品回収

医薬品から食品、化学品、肥料、ナノ粒子まで、さまざまな業界で粉体製品が製造されています。サイクロンには、バグフィルターのような他の集塵システムとは異なり、広範囲の動作温度、圧力、湿度条件に容易に対応できるという利点があります。可動部品のないシンプルな無菌設計で、メンテナンスコストが低く、簡単で効果的に洗浄できるため、細菌汚染や製品の相互汚染を最小限に抑えることができます。ACS サイクロンは、製品収量の向上と厳しい粒子排出制限の両面を達成することができ、多くのケースで下流における他のフィルターの使用を省略することが可能です。

排出ガス制御

粒子状物質(PM)の排出規制は、エネルギー生産のためのボイラーや焼却炉、あるいはセラミック、セメント、ペレット等の製品製造における炉や窯、乾燥機を使用する業界で適用されています。排出制限を遵守することや、下流プロセスへの粒子の持ち込みを回避すること、また外部の空気を浄化することが、顧客がPM 排出量を削減する主な目的となります。ACS のサイクロン設計への革新的なアプローチにより、効率が大幅に向上し、最終段階の除塵装置として他のフィルターの使用が免除されることがあります。

製品と技術

ハリケーンサイクロン

ハリケーンサイクロンの製品群は、粒子間の凝集(クラスタリング)が収集効率にどのように影響するかを考慮しながら、顧客の特定のニーズに応えます。SDやDXなどのコンパクトで圧力損失の低いサイクロンによる粗大粒子の事前分離から、EXやMKなどのハイエンドの微粒子捕集まで、幅広い産業用途に解決策を提供します。捕集効率は、ESPと同等の排出量(30mg/Nm3未満)まで達成することが可能です。

粒子の凝集と数値最適化

ACSは、正確な効率予測モデルを保持し、サブミクロンの粒子が予想よりもはるかに高い効率で捕集できる理由を説明することが可能です。凝集体(クラスター)が大きい粒子は、元の粒子よりも捕集しやすくなります。広い粒度分布が存在すると、凝集が増加し、サイクロン内における滞留時間が長くなり、入口粒子濃度が高くなります。このメカニズムはACSの数値シミュレーションに組み込まれています。PACyc (サイクロンにおける粒子凝集) モデルは、高度な確率論的アルゴリズムとサイクロンの効率を予測する古典的な数値モデルを組み合わせています。

ニーズに合わせてサイクロンを設計

PACyc モデルは、サイズや圧力損失などの費用と運転面の制約も踏まえた上で、数百万の仮想プロトタイプをシミュレーションすることが可能です。現在、数値の最適化によって、サイクロンの製品群が整い、その一部は特許を取得しています。また、これらの製品群は、今後においても顧客の要求によってさらなるカスタマイズの対象となります。

ACS は、顧客の要望に応じてコンパクトなプレセパレーターから最終段階の微粒子捕集にいたるまでの解決策を提供します。捕集効率を高くするほど滞留時間が増え、粒子の凝集を促進するために必要なサイクロンの数が多くなります。ACSは、設置スペースとコストの影響を踏まえた上で最も効率の高いソリューションを提供します。

リサイクロン MH

ACSは、サイクロンの効率を高める再循環システムの特許を取得しています。リサイクロン MHは、高効率ハリケーンサイクロンにメカニカル・リサーキュレーターと呼ばれる粒子分離機構を組み合わせた構成となっています。リサーキュレーターの主な目的は、捕集されなかった粒子を遠心力によってリサーキュレーターの外壁に送り、それらの粒子をサイクロンに再び供給して再循環させることです。リサーキュレーターは、ファンを追加することによって機能します。再循環システムは、粉塵の分離のみを目的として機能し、最終的に粒子はサイクロンで捕集されます。リサイクロンは、サイクロンと再循環機構を組み合わせたものです。プロセスから直接得られる大きな粒子と再循環した微粒子との凝集により、製品回収効率が向上します。リサイクロン MHは、ハリケーンサイクロンの排出量を30~60%程度削減することが可能です。また、制御においては、プロセスガス流量を変動させることができるという利点があります。

特徴

高い捕集効率:サイクロンの排出量を30~60%削減可能
低い排出量:15〜45mg/Nm3程度の排出量が達成可能
圧力損失:150〜200mm w.g.
適切な合金または耐火物を採用することで温度制限なし
再循環は、適切なサイクロン入口流速を保持
堅牢な材質、構造で稼働部なし
少ないメンテナンスおよびダウンタイム
低い投資費用で導入可能

リサイクロン EH

サイクロンシステムに静電再循環を採用することで、1~5μmの粒径範囲であっても粒子排出量をさらに削減することが可能です。静電再循環システムは、排出量の法的制限が非常に厳しい場合や、将来高まる規制へ適合させる際に適しています。DC高電圧を再循環システムに印加することにより、遠心力に対する耐性が高い微細ナノ粒子をサイクロンに再循環させることが可能です。帯電した微粒子は、再循環機構によって分離および濃縮された後に、サイクロンの壁に引き寄せられ、プロセス内のより大きな粒子と凝集することにより捕集が容易になります。微粒子は、ESPとは異なり再循環機構で捕集されないため、粉塵の蓄積や結露を回避できます。リサイクロン EHシステムは、低〜高電気抵抗率に対する感度が低い一方で、必要な電力はESPのわずか10~15%程度です。

特徴

  • 高い捕集効率:サイクロンの排出量を40~70%削減可能
  • 低い排出量:5〜25mg/Nm3程度の排出量が達成可能
  • 圧力損失:120〜170mm w.g.
  • オペレーション温度は400℃まで対応可能
  • 変動する流量の影響を受けにくい
  • 堅牢な材質、構造で稼働部なし
  • 少ないメンテナンスおよびダウンタイム
  • 合理的な水準の投資費用で導入可能

ACSについて

ACS は、ビジネス革新と技術協力の促進を目的としたポルトガルの公益団体であるCOTECによるCoHitec プログラムの支援を受け、ポルト大学の工学大学院(FEUP)の教授であるRomualdo Salcedo(CTO)と、FEUP のインダストリアルエンジニアリングおよびリスボン大学 MBAを修了したPedro Araújo (CEO) によって 2008 年に設立されました。研究開発におけるFEUPとのパートナーシップにより、サイクロン設計の最適化と粒子凝集モデリング(PACyc)における独自の科学的知識を備えたACSは、世界で唯一のサイクロンシステムに特化した企業であり、この技術プラットフォームを使用して粒子分離における諸課題を解決しています。ACS は、現在までに37 か国で 400 件を超えるサイクロンを納入しています。

当社は、ACSサイクロンを使用したスプレードライヤー、スプレークーラー、フリーズグラニュレーターを取り扱っています。積み重ねた技術をもとに、データに基づく最適な製造プロセスを提供しています。粉体加工テスト・受託加工および各種分析・測定業務も承っています。国内二拠点のパウダーテクニカルセンター(神奈川県川崎市)およびASEANパウダーテクニカルセンター(タイ)の計三拠点において、顧客の持つ技術的課題を解決するために日々運営しています。2023年に新設した第二パウダーテクニカルセンター(PTC2)では、国内最大規模の分析・測定装置を取り揃えています(粉体テスト・分析・測定サービス詳細粉体委託加工サービス詳細)。当サービスをご紹介する特設サイトプリス粉ラボを新たにリリースしました。サービスや施設の詳細および技術資料もご案内していますので、ぜひアクセスしてください。

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