スプレードライヤーとは、原液を瞬時に粒子にすることが可能な乾燥装置です。原液を乾燥室内のノズル(ノズル方式)またはディスク(ロータリーアトマイザー方式)により微粒化し、単位体積あたりの表面積を増大させながら連続して熱風を接触させることにより瞬間的に乾燥・造粒を行い、粒子を製造します。したがって、熱に敏感な物質であっても変質が極めて少なく、濃縮、濾過、粉砕、分級、乾燥という多くの工程を一挙に省略することが出来得る装置といえます。乾燥粒子は、球形に近く流動性に優れており、食品、医薬品などでは水に溶解しやすく、また電子材料、粉末冶金、ファインセラミックス材料では高密度の成型品を得ることができます。
スプレードライヤーで乾燥造粒することにより、安定した粒子径および球形の粒子を製造することができます。
適応分野
スプレードライヤーは、幅広い産業で使用されています。下記は、当社が過去に取り扱った実績例(一部)です。
食品 |
| 工業用材料 |
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化学・医薬品 |
| 鉄鋼・金属 |
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システムの選定
一般的にスプレードライヤーの能力は水分蒸発量で示します。しかし、実際にはユーザーの希望通りの粉体を得ることが最も重要な要素となります。たとえ水分蒸発量が同じ装置であっても、ユーザー側の原料特性やオペレーション条件によって、システム設計は異なります。当社では、国内外への豊富な装置納入実績と、長年にわたり蓄積された技術ノウハウに加えて、案件ごとに独自のテストによる検証およびシステム設計を行うことにより、ユーザーの要求に合致したスプレードライヤーを提供します。また、CO2削減(環境対策)および省エネ化を実現するために、スプレードライヤーからの排ガスを熱交換し再利用するシステムを積極的に提案しています。
システムフロー
オープンサイクルシステム
クローズサイクルシステム
水系溶媒の場合には、一般的に大気を使用するオープンサイクルシステムを選定します。可燃性の有機溶媒や酸化を嫌う原料などについては、N2等の不活性ガスを循環使用するクローズサイクルシステムを採用します。また、可燃性有機溶媒に対応したオープンサイクルシステムも選定可能です。安全対策として、溶媒ガス濃度の爆発下限界の25%以下でコントロールし、蒸発した溶媒は、触媒あるいは加熱分解プロセス後に排出されます。
噴霧方式
ロータリーアトマイザー方式
20~200μm 程度の粒子径の造粒に適します。ディスク形状や回転数により粒子径を容易に変更する事が可能です。他の噴霧方式に比べて、粒度分布がシャープで流動性の高い粉体を得る事ができます。
ロータリーアトマイザー
標準としてモーター直結タイプを採用します。増速装置が不要のため、長寿命かつメンテナンスが容易です。現在は、自社の研究開発により非接触シールの採用、稼働音の軽減化、メンテナンスの簡易化等の技術開発を進めています。
ディスク
独自のディスク設計基準により、同じ粒子径をターゲットにした場合においても、回転数を低く抑えることが可能となりました。材質についてはステンレスおよびセラミックス材料、また各種コーティング加工も対応しています。
型式 | PR-015K | PR-10K | PR-15K | PR-22K | PR-37K | PR-55K |
---|---|---|---|---|---|---|
回転数 | 20000rpm | 20000rpm | 20000rpm | 12000rpm | 12000rpm | 12000rpm |
処理能力 | ~10kg/h | ~100kg/h | ~150kg/h | ~300kg/h | ~600kg/h | ~1000kg/h |
モーター | 0.15kW | 1.0kW | 1.5kW | 2.2kW | 3.7kW | 5.5kW |
型式 | PR-005-D | PR-005-B | PR-015-D | PR-015-B | PR-075-B | PR-250-B |
---|---|---|---|---|---|---|
回転数 | 30000rpm | 30000rpm | 30000rpm | 24000rpm | 18000rpm | 18000rpm |
処理能力 | ~500kg/h | ~500kg/h | ~1500kg/h | ~1500kg/h | ~7500kg/h | ~25000kg/h |
モーター | 5.0kW | 5.0kW | 15.0kW | 15.0kW | 75.0kW | 250.0kW |
※Dはモーター直結タイプ(Direct Drive)、Bはベルト駆動(Belt Drive)となります。
ノズル方式
原液特性や乾燥条件に応じて最適なノズルを選定します。材質はステンレスやセラミック、特殊合金等、用途に応じて提案します。
二流体ノズル方式
20μm以下の粒子径の造粒に適します。原液の濃度、粘度や気液比を調節することにより、シングルμm程度の粒子径を製造することも可能です。高濃度、高粘度の液に対しても目詰まりを起こしにくい特殊ノズルを採用しています。乾燥速度が速く、他の噴霧方式に比べてコンパクトな装置設計が可能です。
一流体ノズル方式
量産設備や処理量に対して設置面積が大きく取れない場合等に適します。ノズル角度を自在に調整する事が可能なユニバーサル方式を採用することにより、乾燥室のサイズをコンパクトにする事が可能です。
製品捕集
二点捕集方式
乾燥室下およびサイクロン下の2点で捕集します。乾燥室下では球形に造粒された流動性の良い粒子が得られ、サイクロン側では微粒子のみが得られるため、分級効果もあります。
サイクロン捕集方式
サイクロンで一括捕集します。比較的軽い粒子や微粒子の噴霧乾燥等に採用します。サイクロン一括で捕集するため、後工程において混合処理等を省略することが可能です。
バグフィルター捕集方式
バグフィルターで一括捕集します。サイクロンでは良好な捕集効率が得られない微粒子の捕集に適します。また、サイクロンの遠心力による造粒子の破損リスクが軽減されます。
※ 上記以外の方式もございますのでお問い合わせ下さい。
材質
標準の材質としては、接粉部はSUS304を使用し、バフ#300仕上げを行います。原液の条件や製品の特性によりSUS316やSUS316L、フッ素樹脂コーティング等も選定することが可能です。
熱源
電気、蒸気、LNG、LPG、灯油、重油や工場内の排熱、排ガス等に対応することが可能です。オペレーションのクリーンレベルにより、直接加熱方式あるいは間接加熱方式を選定します。HEPAフィルターも選定可能です。間接加熱方式の場合は、熱交換器の放熱出口ガスの一部を循環させることにより、より高い水準の省エネ化を実現しています。
省エネルギーシステム
出口側の排熱を入口側に熱交換させることにより、高水準の省エネを実現します。省エネルギーシステムの採用により、ランニングコストの削減に加えてCO2の削減、環境対策としても効果があります。
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