株式会社プリス

振とう機・振とう培養機 高圧蒸気滅菌装置

コラム#26「火星人と地球人は親類か?(その2)」

2022.03.24更新

前回に続き、火星人と地球人の話です。
今回は、火星人を生物学的視点から考察してみましょう。

火星人の食生活

先ずは、地球人の血液を摂取する件です。原作では消化器官が退化したしたため、液体状の栄養分として血液を接種すると考察されています。
小さい口がその証拠であるとも。そうなると地球人のいない火星では、何を食べているのでしょう? 火星牛や火星ブタのような家畜の血液かも知れません。
そして血液しか食べないのであれば、料理の概念もないのでしょうか?料理が無いとすると、食器類も不要です。どうやら火星人の食生活は寂しいもののようです。
地球を妬むのも、この辺りに原因がありそうです。実に食い物の恨みは恐ろしい限りです。
消化器官の退化は定かではありませんが、地球人の血液が栄養分になるということは、火星人を構成する成分は地球人と同じということです。
タンパク質とそれを構成するアミノ酸、それに脂質や糖類も共通と言うことに他なりません。
そうであるならば、火星人と地球人は、共通の先祖的生命を持つということです。
さらにその先祖的生命は、地球で生まれて火星に渡ったか、その逆か、あるいは宇宙で生まれて地球と火星の両方にたどり着いたか、のいずれかです。ここにも「生命宇宙起源説」が隠れています。

火星人が地球の病原菌で全滅する!?

そして、火星人が地球の病原菌で全滅する件ですが、火星から地球まで遠征しビーム兵器を使うほどの高い科学技術を持ちながら、これはあまりにもお粗末な末路です。
原作では、衛生管理が徹底され過ぎた環境に慣れ親しんだため、地球の病原菌について注意が至らなかったと考察されています。
加えて、地球人である我々も衛生管理に過剰に厳しくなっていないか?と警告しています。
しかし、火星人が地球の病原菌に注意しないはずがありません。
共通の先祖的生命を有すると仮定するならば、火星にも微生物がいるはずです。
微生物がいたからこそ衛生管理が徹底されたわけです。それならば、火星人が未知の星「地球」に遠征するに際して、病原菌に対するバイオハザードを怠ることはあり得ません。
防護服はもちろん、殺菌装置も抗生物質だって用意していたでしょう。地球人の血液も、そのまま食するのでなく、殺菌するかフィルターで除菌したに違いありません。
それよりも安心・安全な火星食を持ってきたはずです。食料も持たずに敵地に攻め入る愚策を取るとは考えられません。

つまり、何らかの事故があったと考えるのが妥当です。
地面に激突するような着陸は、やはり尋常ではありません。着陸の衝撃で衛生管理等を含めた多くのシステムが壊れたのではないでしょうか。
また火星から地球までの時間が予定以上にかかり(この間にすでに何らかの問題があったとか)、火星食が不足したため、飢えに耐え切れず地球人の血液をそのまま食して感染した、と言うのがありがちな話です。
恐らく、このような情報は火星に送られ、改善策を講じて再度侵攻するか、地球侵攻をあきらめるかを検討していることでしょう。

地球外生命の夢

さて、現実に戻りましょう。現在、アメリカの探査機が火星の地表上を移動しながら情報収集をしています。
そしてその映像がインターネットを通じて世界中に配信されています。すごい時代になりました。
それでも火星では生物はおろか、生命の痕跡も未だ見つかっていません。
でも世界の研究者は地球外生命の夢をあきらめていません。例えば木星の衛星エウロパ。
分厚い氷の下に液体の水と熱水噴出孔のようなものがあり、地球と同様に生命発生の可能性も高いと考えられています。
どんな生物がいるのか、ちょっとワクワクします。


技術顧問 博士(農学)

茂野 俊也(Toshiya Shigeno