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【スプレードライヤーテストレポート】固形分濃度違いによる粒子径の相関について
2018.03.28更新
これまでの試験で、運転条件を変更し粒子径がどう変化するか検証して参りました。
※結果の詳細については、下記を参照。
・「【技術情報】ディスク回転数と粒子径、形状の相関について」
・「【技術情報】コンプレッサーエアー圧力の違いによる粒子径の違いについて」
・「【技術情報】原液供給速度の違いによる粒子径の違いについて」
今回は二流体ノズル方式・ディスク方式を利用し、固形分濃度を変更して粒子径がどう変化するか検証します。
二流体ノズル方式 測定条件
【スプレードライ条件】
使用装置: | スプレーボーイ(SB39) |
---|---|
コンプレッサーエアー圧力: | 0.4MPa |
原液供給速度: | 1kg/h |
温度条件: | 入口温度150℃ / 出口温度71~89℃ |
【スラリー条件】
原料: | アルミナ 50wt%,30wt%,10wt% |
---|---|
溶媒: | 精製水 |
バインダー: | PVA |
上記条件にてスプレードライヤーテストを実施したところ、粒度分布が以下の結果となりました。
測定結果
表1 固形分濃度の違いによる粒度分布Dv50(μm)
固形分濃度(%) | 粒度分布Dv50(μm) |
---|---|
50.0 | 12.5 |
30.0 | 8.3 |
10.0 | 6.2 |
図1 粒度分布(体積)
赤:固形分濃度 50.0%
緑:固形分濃度 30.0%
青:固形分濃度 10.0%
上記測定結果より、固形分濃度を下げることで粒子径が小さくなることが確認できました。
スプレードライヤーでは熱風を瞬間的に当て、液滴を収縮させて乾燥造粒を行います。固形分濃度が低くなると液滴に含まれる溶媒が多くなる為、収縮が大きくなり粒子径が小さくなると考えられます。
前回の試験(供給速度を変更した試験)でも同じですが、今回も出口温度にも違いが出たのでこれについて確認します。
表2 出口温度結果
固形分濃度(%) | 出口温度(℃) |
---|---|
50.0 | 86~89 |
30.0 | 79~80 |
10.0 | 71~73 |
固形分濃度を下げると、溶媒の量が増加し水分蒸発量も上がり熱を奪う量が多くなる為、出口温度が下がります。
ディスク方式 測定条件
【スプレードライ条件】
使用装置: | ターニング式スプレードライヤー TR160(乾燥室径φ1600mm) |
---|---|
ディスク回転数: | 10,000rpm,6,000rpm |
原液供給速度: | 5kg/h |
温度条件: | 入口温度150℃ / 出口温度80~90℃ |
【スラリー条件】
原料: | アルミナ 50wt%,25wt% |
---|---|
溶媒: | 精製水 |
バインダー: | PVA |
上記条件にてスプレードライヤーテストを実施したところ、粒度分布が以下の結果となりました。
測定結果
表3 ディスク回転数10,000rpm時の固形分濃度の違いによる粒度分布Dv50(μm)
固形分濃度(%) | 粒度分布Dv50(μm) |
---|---|
50.0 | 48.3 |
25.0 | 41.7 |
図2 ディスク回転数10,000rpm時の粒度分布(体積)
赤:固形分濃度 50.0%
緑:固形分濃度 25.0%
表4 ディスク回転数6,000rpm時の固形分濃度の違いによる粒度分布Dv50(μm)
固形分濃度(%) | 粒度分布Dv50(μm) |
---|---|
50.0 | 57.3 |
25.0 | 54.9 |
図3 ディスク回転数6,000rpm時の粒度分布(体積)
赤:固形分濃度 50.0%
緑:固形分濃度 25.0%
表5 固形分濃度・回転数の粒子径の相関
回転数(rpm) | |||
---|---|---|---|
10,000 | 6,000 | ||
固形分濃度(%) | 50.0 | 48.3μm | 57.3μm |
25.0 | 41.7μm | 54.9μm |
上記表5より、固形分濃度高く・回転数が低い条件の際に粒子径が一番大きくなる結果となりました。
まとめ
今回と以前の試験もふまえ、粒子径を変化させる基本的な条件として以下のことが挙げられます。
〇ディスクの回転数またはコンプレッサー圧力を変更
〇供給速度を変更(ディスク方式の場合、違いが出にくい)
〇固形分濃度を変更
表6 運転条件と粒子径の相関
粒子径 | 大きく | 小さく |
---|---|---|
ディスク回転数 | 低く | 高く |
コンプレッサー圧力 | 低く | 高く |
供給速度 | 多く | 少なく |
固形分濃度 | 高く | 低く |
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