振とう機・振とう培養機 高圧蒸気滅菌装置
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コラム#1 微生物って何者?
2017.08.01更新
当社の製品の一つに、“振とう培養機”と呼ばれる重要な機械があります。
何を培養するかと言えば“微生物”です。
「それってバイキン?」と思われる方がほとんどでしょう。
でも、それはかなりの偏見です。と、いう訳でまずは「微生物とは何か?」から話を始めましょう。
微生物=微+生物。
微生物の「微」
つまり微細な生き物の総称(通称?)です。
より詳しくは「肉眼で観察できないサイズの生物」ということです。
一般的に肉眼観察の限界は0.1mm(100μm)、毛髪の太さ程度です(老いてくるともっと大きくなるかな)。
身近な微生物であるパン酵母(俗称イースト菌。学名はサッカロマイセス セレビジエ)は全長10-20μm位ですから、さらに10分の1位になります。
微生物の「生物」
次に“生物”とはなんでしょう?
私達も生物ですが、案外と生物を知らないものです。
生物は次の4つの特徴を持ちます。
特徴① | 細胞で構成されている。 |
特徴② | 細胞内で様々な物質を合成したり、分解したりする(代謝機能を有する)。 |
特徴③ | 細胞内の環境を一定に保つ機能がある(恒常性の維持)。 |
特徴④ | 自身と同じ遺伝子を持つ細胞や個体を作る機能がある(自己複製)。 |
17世紀英国の博物学者ロバート・フックはコルクを顕微鏡観察し、小さな部屋の様な構造を見つけました。
彼はこれをcell(細胞)と名付け、生物は細胞で出来ていると考えました。
今日では生物の始まりは膜で閉じられた構造体が出来たことと考えられています。
膜で内は外(外界)と区別され、物質が濃縮され、膜を通した物質の出入りが行われるようになります。
やがて膜内で、より複雑な反応が行われるようになり、生物へと発展したとされていますが、その詳細は研究中です。
細胞内には様々なタンパク質があり、代謝機能を有するタンパク質は“酵素”と呼ばれます。
酵素が充分に機能するためには、細胞内の環境条件(温度、pH、塩濃度等)が一定の範囲に保たれる必要があります。
そして自己複製。生物の最も重要で他に類を見ない特徴です。
自身の設計図(遺伝情報)は核酸という物質に記録してあります。
生物は、この遺伝情報に従って自身と同じものを作ることができます。
時間と共に全ての物は劣化し壊れていきます。
定期的に自己複製をすることで、遺伝情報の永久保存を目指しているかのようです。
微生物っぽいもの
上記のように毛髪の太さよりも小さく、生物の条件①~④を持っているものが微生物です。
しかし何にも紛い物は付きもの。“微生物っぽい” モノがいます(あります?)。
確かに小さい(0.1μm位)のですが、生物の4条件のいくつかが欠けています。
代表はウイルス。細胞の様な構造を持っていて、中には遺伝情報たる核酸もあります。
しかし、代謝機能を担う酵素は数種類(甚だ不十分)しか持っていません。
単に遺伝情報を詰めたカプセルの様です。
自己複製するときは、他の細胞を乗っ取ります(セルジャック?)。
無論、恒常性を維持する素振りもありません。
さらに場合によっては自己複製終了後にジャックした細胞を壊してしまう、悪逆非道ぷり。
「ウイルスは生物か否か?」は研究者によって見解が異なります。人によっては“半生物”と呼ぶこともあります。
何かを定義するのは、難しいことです。
次回は「どのような微生物がいるのか?」について紹介します。
実は私達は微生物にまみれて生きています。
いやむしろ、微生物にまみれないと健康な生活はできないのです。
技術顧問 博士(農学)
茂野 俊也(Toshiya Shigeno)